NFTのロイヤリティを解説|二次流通で作者に報酬が入る仕組みと注意点

NFTのロイヤリティで二次流通から作者に報酬が入る仕組みを表したアイキャッチ画像

NFTには、作品が二次流通で売買されたときに、クリエイターなどへ報酬を還元する「ロイヤリティ」の仕組みがあります。

一般的な商品では、一度販売されたものが中古市場で売買されても、元の作者へその都度報酬が入るわけではありません。一方、NFTではマーケットプレイスやスマートコントラクトの仕組みを利用して、二次販売時にもクリエイターへ報酬を届けられる場合があります。

ただし、NFTにロイヤリティが設定されていれば、どのマーケットプレイスでも必ず自動的に支払われるわけではありません。

現在はマーケットプレイスやコントラクトの仕様によって、ロイヤリティが「必須」「任意」など異なる扱いになることがあります。たとえばOpenSeaでは、Creator Earningsが強制されるコレクションと任意のコレクションがあります。

この記事では、NFTロイヤリティの基本的な仕組みからERC-2981、マーケットプレイスによる違い、売買するときの注意点まで初心者向けに解説します。

💡 この記事でわかること

  • NFTのロイヤリティとは何か
  • 二次流通でクリエイターに報酬が入る仕組み
  • スマートコントラクトやERC-2981との関係
  • マーケットプレイスによるロイヤリティの違い
  • NFTを売買するときに確認したい注意点

NFTのロイヤリティとは

NFTのロイヤリティとは、NFTが再販売されたときに、売買代金の一部をクリエイターや権利者などへ還元する仕組みです。

NFTの世界では「Creator Earnings」「Creator Fees」など別の名称で表記されることもあります。

たとえば1ETHで販売されたNFTに5%のロイヤリティが適用される場合、計算上のロイヤリティは0.05ETHです。

ただし、実際に誰が負担するのか、どのタイミングで支払われるのか、そもそも支払いが強制されるのかは、利用するマーケットプレイスやNFTの設計によって異なります。

一次販売と二次販売の違い

NFTの一次販売と二次販売の違い、二次販売時にロイヤリティが還元される仕組みを示した図解

NFTでは、最初にNFTを発行して販売することを「一次販売」、購入したNFTがその後別のユーザーへ売買されることを「二次販売」と考えるとわかりやすいでしょう。

たとえば、

クリエイター → Aさん

という最初の販売が一次販売です。

その後、

Aさん → Bさん
Bさん → Cさん

とNFTが売買されていけば、それらは二次流通にあたります。

NFTの二次流通については、NFTの二次流通を解説も参考になります。

二次流通から報酬を受け取れる可能性がある

NFTロイヤリティの大きな特徴は、クリエイターが最初にNFTを販売したときだけでなく、その後の二次流通からも収益を受け取れる可能性があることです。

作品の人気が高まり、二次市場で売買が続けば、ロイヤリティがクリエイターの継続的な収益につながることがあります。

一方で、ロイヤリティはNFTそのものに必ず備わっている機能ではなく、支払い方法も一律ではありません。

NFTロイヤリティはどうやって設定される?

NFTロイヤリティには、大きく分けて「NFTのコントラクト側でロイヤリティ情報を扱う方法」と「マーケットプレイス側で設定する方法」があります。

実際には、この2つを組み合わせるケースもあります。

スマートコントラクトとの関係

NFTはスマートコントラクトによって発行や所有者、Token IDなどが管理されています。

ロイヤリティについても、スマートコントラクトに「ロイヤリティを受け取るアドレス」や「販売価格に応じたロイヤリティ額を返す仕組み」を実装できます。

ただし、スマートコントラクトにロイヤリティ情報が入っていることと、すべての売買で実際に支払いが強制されることは同じではありません。

NFTのスマートコントラクトについては、NFTのスマートコントラクトを解説をご覧ください。

マーケットプレイス側で設定する場合もある

NFTマーケットプレイスが独自にクリエイター報酬の設定機能を提供しているケースもあります。

OpenSeaでは現在「Creator Earnings」という名称が使われており、コレクション設定から報酬率と受取アドレスを設定できます。対応するコントラクトでは強制型のCreator Earningsを設定できますが、それ以外では任意のCreator Earningsになる場合があります。

そのため、NFTのロイヤリティを考えるときは、

  • NFTのスマートコントラクト
  • 利用するマーケットプレイス
  • ロイヤリティの強制方式
  • 受取アドレス

を分けて考えることが重要です。

NFTのロイヤリティは必ず支払われる?

ここはNFTロイヤリティで特に誤解されやすいポイントです。

NFTにロイヤリティ情報が設定されていても、すべての二次販売で必ず支払われるとは限りません。

NFTのロイヤリティ標準として知られるERC-2981も、ロイヤリティの受取先と金額を共通形式で取得できるようにするための規格であり、支払いそのものを強制する仕組みではありません。ERC-2981の仕様でも、ロイヤリティ支払いは任意であることが明記されています。

マーケットプレイスによって扱いが違う

マーケットプレイスがロイヤリティをどのように扱うかによって、実際の支払いも変わります。

たとえば2026年8月時点のOpenSeaでは、Creator Earningsには「enforced」と「optional」があります。

強制型の場合は対象の売買で設定されたCreator Earningsが支払われますが、任意型では売り手側が支払う割合を調整できる仕組みです。

このように、「NFTにロイヤリティがある」という情報だけで判断せず、実際に利用するマーケットプレイスの仕様も確認する必要があります。

ERC-2981とは

ERC-2981は、NFTのロイヤリティ情報を共通の方法で取得するための規格です。

正式には「NFT Royalty Standard」と呼ばれています。

ERC-2981でロイヤリティの受取先と金額を取得する仕組みと支払いを強制しない点を示した図解

公式仕様はこちらです。

ERC-2981:NFT Royalty Standard

ERC-2981では、royaltyInfo()という仕組みを使い、販売価格に対して、

  • 誰がロイヤリティを受け取るのか
  • いくらロイヤリティを支払うのか

という情報を取得できます。

ERC-721・ERC-1155とは役割が違う

ERC-2981とERC-721・ERC-1155は役割が異なります。

規格 主な役割
ERC-721 個別のNFTを管理するための代表的な規格
ERC-1155 複数種類・複数数量のトークンを扱える規格
ERC-2981 ロイヤリティの受取先・金額を取得するための規格

ERC-2981はERC-721やERC-1155のNFTで利用できますが、ERC-721・ERC-1155そのものにロイヤリティ機能が必須で組み込まれているわけではありません。

トークン規格について詳しくは、NFTのERC-721・ERC-1155を解説も参考になります。

ERC-2981だけでは支払いを強制できない

ERC-2981で特に重要なのは、ロイヤリティ情報を伝える規格であって、NFTの移動そのものにロイヤリティ支払いを強制する規格ではないという点です。

NFTは売買以外にも、

  • 自分の別ウォレットへ移動する
  • 他人へプレゼントする
  • 別のサービスへ送る

といった用途があります。

単純なNFT移動だけでは「販売なのか、ただの送付なのか」を常に判断できないため、すべてのTransferにロイヤリティを課すことは適切ではありません。ERC-2981の仕様でも、この点がロイヤリティ支払いを任意とする理由として説明されています。

NFTマーケットプレイスによってロイヤリティは違う?

ロイヤリティの扱いは、NFTマーケットプレイスによって異なります。

また、同じマーケットプレイスでも仕様が変更されることがあります。

NFTマーケットプレイスによってロイヤリティの強制・任意などの扱いが異なることを示した図解

OpenSeaの場合

OpenSeaでは現在、Creator Earningsを設定できます。

OpenSeaによると、Creator Earningsには「optional」と「enforced」があり、ERC721-CまたはERC1155-Cに対応するコントラクトでは、OpenSea上の販売でCreator Earningsを強制できる場合があります。対応していない場合でも、任意のCreator Earningsを設定できます。

OpenSea公式の現在の案内はこちらです。

OpenSea|Creator Earningsの設定方法

Magic Edenの場合

Magic Edenでもロイヤリティの扱いはチェーンやコレクションの仕様によって異なります。

たとえばSolanaマーケットプレイスでは、任意ロイヤリティの対象コレクションについて、購入者がロイヤリティを全額・半額・0%から選べる仕組みが案内されています。一方、特定の規格を採用したコレクションでは強制型となる場合があります。

Magic Eden|Optional Royaltiesの解説

このように、ロイヤリティは「NFTなら共通のルール」ではありません。

NFTを販売する側も購入する側も、利用するマーケットプレイスの最新ルールを確認することが大切です。

NFTマーケットプレイスの違いについては、NFTマーケットプレイスの選び方も参考になります。

ロイヤリティは誰が受け取る?

「NFTロイヤリティ=必ずNFTを作った本人が受け取る」とは限りません。

ロイヤリティの受取先として設定されたウォレットアドレスに支払われるのが基本です。

ERC-2981でも、royaltyInfo()からロイヤリティ受取先となるアドレスと金額を返す仕組みになっています。

プロジェクトによっては、

  • 個人クリエイターのウォレット
  • NFTプロジェクトの運営ウォレット
  • 法人のウォレット
  • 報酬を分配するためのコントラクト

などが受取先になることがあります。

OpenSeaでもCreator Earningsを設定するときに、報酬率と受取アドレスを指定する仕組みです。

そのため、NFTの作者名だけを見て「この人にロイヤリティが入る」と決めつけるのではなく、実際の設定を確認する必要があります。

NFTの売買価格とロイヤリティの関係

NFTを売買するときには、ロイヤリティ以外にも複数のお金が関係します。

初心者の場合は、次のように分けて考えるとわかりやすいでしょう。

項目 意味
NFTの販売価格 NFTそのものの売買価格
ロイヤリティ クリエイターや設定された受取先へ支払われる報酬
マーケットプレイス手数料 マーケットプレイスへ支払う利用手数料
ガス代 ブロックチェーン上で取引を処理するためのネットワーク手数料
NFTの販売価格からロイヤリティ・マーケットプレイス手数料・ガス代・売り手の受取額を整理した図解

ロイヤリティとマーケットプレイス手数料、ガス代は別のものです。

たとえばOpenSeaでもCreator Earningsとガス代は別の項目として扱われており、ガス代はOpenSeaではなくブロックチェーンのバリデーターへ支払われます。

NFTのガス代については、NFTのガス代を解説も参考になります。

NFTロイヤリティのメリット

NFTロイヤリティのメリットは、クリエイターが一次販売だけでなく、二次流通からも継続的な収益を得られる可能性があることです。

従来であれば、作品を販売した後に価値が上昇して転売されても、その利益が作者へ還元されないケースが一般的でした。

NFTでは、対応するマーケットプレイスやロイヤリティの仕組みを利用することで、二次販売時にもクリエイターへ報酬を還元できます。

また、個人のアーティストだけでなく、ゲーム、音楽、キャラクター、会員証などさまざまなNFTプロジェクトで活用できる可能性があります。

ただし、ロイヤリティを設定すれば必ず収益が発生するわけではありません。

NFT自体に需要があり、実際に二次流通が発生することが前提になります。

NFTロイヤリティの注意点

NFTロイヤリティには便利な面がありますが、いくつか注意点もあります。

すべてのマーケットプレイスで同じではない

ロイヤリティ率や支払い方法、強制の有無はマーケットプレイスによって異なります。

また、マーケットプレイス側の仕様変更によって扱いが変わることもあります。

NFTを販売する場合は、利用するマーケットプレイスの最新ルールを確認しましょう。

ERC-2981対応=必ずロイヤリティが入るわけではない

ERC-2981はロイヤリティ情報を取得する標準であり、支払いを強制するものではありません。

ERC-2981に対応しているというだけで「どこで売っても必ずロイヤリティが入る」と考えないようにしましょう。

受取アドレスを確認する

NFTを発行・販売する側は、ロイヤリティの受取先アドレスを間違えないことも重要です。

ウォレットアドレスを間違えて設定すると、本来とは異なるアドレスへ報酬が送られる可能性があります。

偽物NFTにも注意する

ロイヤリティ設定があるからといって、そのNFTが本物であるとは限りません。

偽物のコレクションでも別のスマートコントラクトを作成し、ロイヤリティのような設定を持たせることは可能です。

NFTの真偽を確認するときは、ロイヤリティよりもコントラクトアドレスや公式情報との一致を確認することが重要です。

詳しくは偽物NFT・詐欺の見分け方をご覧ください。

よくある質問

NFTのロイヤリティは誰が払う?

利用するマーケットプレイスや取引方式によって異なります。販売代金から差し引かれる仕組みや、売買時にCreator Earningsとして処理される仕組みなどがあります。ロイヤリティの負担方法は利用するマーケットプレイスの表示を確認してください。

ロイヤリティは何%?

一律ではありません。クリエイターやプロジェクト、マーケットプレイスの設定によって異なります。OpenSeaでは現在Creator Earningsの設定上限を10%と案内していますが、これはNFT全体に共通する上限ではありません。

ERC-2981ならロイヤリティは強制?

強制ではありません。ERC-2981はロイヤリティ受取先と金額を取得するための標準で、実際の支払いはマーケットプレイスなどの実装に依存します。

NFTをウォレットに送るだけでもロイヤリティがかかる?

通常のウォレット間送付とNFTの販売は別です。ERC-2981も、すべてのNFT Transferが販売とは限らないため、単純なTransferにロイヤリティを強制する規格ではありません。

ロイヤリティがあるNFTは安全?

ロイヤリティ設定の有無だけでは安全性を判断できません。偽物NFTや不審なコントラクトにも注意し、公式のコントラクトアドレスや販売ページを確認することが重要です。

まとめ:NFTロイヤリティは二次流通から報酬を還元する仕組み

NFTのロイヤリティは、NFTが二次流通で売買されたときに、売買代金の一部をクリエイターや設定された受取先へ還元するための仕組みです。

クリエイターにとっては、一次販売だけではなく、その後の二次販売から継続的に収益を得られる可能性があります。

一方で、NFTにロイヤリティが設定されているからといって、すべての売買で必ず支払われるわけではありません。

ERC-2981もロイヤリティ情報を共通形式で取得するための規格であり、支払い自体を強制するものではありません。実際の取り扱いはマーケットプレイスやスマートコントラクトの設計によって変わります。

NFTを販売するときは、

  • ロイヤリティ率
  • 受取アドレス
  • 利用するマーケットプレイス
  • 強制型か任意型か

を確認しておくことが重要です。

購入する側も、NFTの販売価格だけでなく、Creator Earningsやマーケットプレイス手数料、ガス代などを確認してから取引すると安心です。

NFTロイヤリティは便利な仕組みですが、「NFTなら自動的に永久に作者へ報酬が入る」というものではありません。

仕組みとマーケットプレイスごとの違いを理解したうえで利用しましょう。

執筆者情報:エヌエフトリウム

エヌエフトリウムは、NFTやブロックチェーンに関する情報を初心者にもわかりやすく発信するメディアです。NFTの購入代行・販売代行・出品代行・ミント代行などのサービス提供に加え、市場動向や技術の基礎知識もブログでわかりやすく解説しています。